第1回:データに強い現場をつくる ― エネルギーDX時代の“人材育成”とは

連載:データで進める脱炭素経営 ― 現場・経営・世界・未来を読み解く4回シリーズ

製造業の脱炭素や省エネが「待ったなし」と言われる今、
現場から経営、そして海外の動向まで、企業が向き合うテーマはどんどん広がっています。

この連載では、脱炭素を「コスト削減」だけではなく、
“経営価値を高める力”として捉えるための4つの視点を取り上げます。

第1回:現場の“人材”
第2回:経営判断と投資回収
第3回:海外比較
第4回:実務的な省エネ対策ガイド

まずは、すべての基盤となる 「データに強い現場づくり」 をテーマにお届けします。

データに強い現場をつくる ― エネルギーDX時代の“人材育成”とは

工場にIoTセンサーが入り、EMSによるエネルギー管理が一般化し、
「データを活用して現場を改善する」取り組みが急速に進んでいます。

一方で、現場からはこんな声もよく聞こえてきます。

データが増えたのに、改善につながらない
ダッシュボードを見るだけで終わってしまう
分析はできても、その先の“行動”が変わらない

その根本的な原因は、技術そのものよりも、
“人材の育成”と“現場文化”の課題にあるケースが非常に多いのです。

🌱 なぜ今、「データに強い現場づくり」が必要なのか?

これまでの製造現場は、「経験」「勘」「習慣」で判断されることも多く、
それでも十分に品質や生産性を保てていた時代がありました。

しかし今、現場が抱える課題は複雑化しています。

電気代の高騰
設備更新の負担増
脱炭素、ESGへの企業としての責任
人手不足、属人化、生産効率の低下

これらは、感覚だけでは判断できない領域に入りつつあります。

だからこそ、
現場全体でデータを読み、改善につなげる “データ文化” を育てていくことが、
エネルギーDXを成功に導く鍵となります。

🔎 では、データに強い現場とは何か?

多くの工場と関わってきた中で、
“データに強い現場”には共通して次の特徴があります。

データが自然と会話に登場す
「昨日のピーク電力見た?」
「このライン、先週より稼働率落ちてるね」

このように、数字が“共通言語”として扱われている現場は強いです。
小さな改善サイクルが高速で回っている
改善活動が「イベント」ではなく「日常」になっています。
気づいた人がすぐ動ける仕組みがある
データの気付きから行動までの距離が短いのが特徴です。


📊 データで動ける現場を育てる3ステップ

非常に効果的な育成プロセスをご紹介します。

1. “見える化”で変化の種をまく ― まずは気づきをつくる

IoTやEMSによってデータが可視化されると、
現場は一気に“客観的な視点”を持ち始めます。
例えば、

空調が稼働していない時間帯なのに電力値が高い
休憩時間中の待機電力が意外に大きい
同じ機種の設備でも稼働率に差がある

こうした“気付き”が生まれること自体が、変化への第一歩です。

見える化 = 育成の種まき
という意識がとても大切です。

2. “読み解く力”を育てる ― なぜ?を考える力が現場を変える

次に必要なのは、データを見て終わりにするのではなく、
原因を探る力 です。

なぜこの時間帯だけ電力が高いのか?
なぜこのラインは稼働が落ちているのか?
なぜ同じ工程なのに差が出るのか?

これはAIだけでは絶対に補えない領域で、
現場の経験・知識とデータが結びつく瞬間でもあります。

この「問いを立てる力」が育つと、改善提案の質が一気に向上します。

3. “行動につなげる”力 ― データを文化にする仕掛け

最後に必要なのは、改善を“定着させる”ことです。

朝礼でデータを共有する
月次会議で「改善結果」を必ず振り返る
小さな成功をチームで称賛する
データの見方を研修で標準化する

こうした積み重ねが、
データを活かす文化そのものを育てていきます。

🏭 現場と技術をつなぐ ― オレンジボックスの取り組み

オレンジボックスでは、IoT・EMS・AIを組み合わせた“現場で使えるDX”にこだわっています。

電力・ガス・設備稼働のリアルタイム見える化
AIによる異常傾向検知
部署間で共有しやすいダッシュボード
改善サイクルを回すための運用設計支援

データをただ“見せる”のではなく、
現場が自分たちで改善できる仕組みづくりを重視しています。

👉 オレンジボックスのサービスを見る

🌟 データに強い現場は「育てるもの」

システムを導入するだけではDXは進みません。
データを扱うのは、あくまで“人”です。

だからこそ、
見える化 → 読み解く → 行動につなげる
という育成サイクルを現場に根付かせることが、
脱炭素にも省エネにも、最も大きな成果をもたらすのです。

エネルギーDXの成功は、現場の小さな気づきと行動の積み重ね。
その基盤をつくる「人材育成」こそ、企業の未来を左右する力だと感じています。


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